1. 酸性度・塩基性度は高いほど酸・塩基相互作用による結合力が強い。カルボン酸の酸性度は、酸性アミノ酸側鎖>脂肪酸である。血液中のカルボン酸は塩基(カルボキシラート)として働くので塩基としての強さ:結合力は、酸性アミノ酸側鎖<脂肪酸となる。血液中の脂肪酸は血中アルブミン内の酸・塩基相互作用による結合を壊し容易にアルブミン内の塩基性アミノ酸側鎖と結合できる。この結合から離れた酸性アミノ酸側鎖はアルブミン内の別の塩基性アミノ酸側鎖と結合することで血中アルブミンの立体構造が変わり脂肪酸の疎水部分を取り込んで脂肪酸との結合を更に安定化するだろう。

2.エネルギー獲得を目的にした脂肪酸代謝がアシルCoAで行われるのは、代謝過程の生成物の酸性度が違い且つ酸性アミノ酸側鎖より強酸であることだ。従ってカルボン酸のままでは酵素内の酸性アミノ酸側鎖から追い出され易い。第一段階までは問題無いが、第二段階以降の代謝酵素への取り込みが難しくなる。しかし、CH/π相互作用やOH,COとの水素結合を加えれば不可能ではないと思うが面倒だ、これは代謝スピードに関わる。脂肪酸とCoAを結合させたまま「アセチルCoA」を産生する生物が勝ち残れたのだろうか・・・いや、チオールエステルにすることで第一、第二段階の反応が容易になる、これが最大の理由かな?

 *RCH2-CH2CO2H RCH=CHCO2H RCH(OH)CH2CO2H RCOCH2CO2H(実際は-CO2Hではなく、-CO-CoAのままで行われる)