化学構造式は物質把握に欠かせない。しかし私は今日まで酸素分子を的確に表す化学構造式と出会えない日が続いている。これでは呼吸する生物の最重要物質と言える酸素分子と他の物質群が化学構造式で繋がらない。化学構造式による物質の統一的把握ができないのが現況なのだ。
 酸素分子の基底状態はジラジカルである。この事実を通常の化学構造式で表せば単結合となり結合長等との間に整合性が無くなる。単結合のままで結合長の短縮(安定化)が実現する新概念が必要なのだ。その概念(私案)を紹介する。
 この概念の紹介には酸素分子で二重結合が成立しないことの説明から入ります。次に私案の「隣接原子軌道間の酸・塩基相互作用」によるラジカル安定化で酸素分子の基底状態を説明します。そしてこの概念が適用できる原子団群(酸素分子の兄弟達:不完全配位結合原子団群)を発掘します。それから本安定化作用の化学構造式による表現法を提示します。その酸素分子が 11‘ は三重項状態強調)です。

 化学構造式では孤立電子対を表記しない。しかし孤立電子対の在り方で化学構造が決まる原子団群も在る。酸素分子はその群れに属している。