課題が決まる・問題が発生するこの際、自分の得意分野、例えば低分子化合物の新規な簡便合成法なら、先ず考える。アイディアが出るとアイディアの周辺を調べる。これが私の「やり方」だ。
このやり方だと調べる範囲が狭まり調べる作業が楽になる。そして自分のアイディアのレベルもわかるのだ。すでに既知だったとしても気を落とすことは無い、自分のアイディアが間違っていなかったことの証明なのだから。また考え直さねばならないが、考えることが好きなのだからむしろ喜ばしい。これをくり返すことで有機合成化学分野に限れば自信を持って向き合うことができたと思っている。
私以外の人達は考えながら調べるか、先に調べその後考えるようだ。私からは本当に考えた? と感じる場面が多かった。学びの世界で絶大な成功を成し遂げた故に学びの常道:調べた内容を理解したら即終了、からの脱出が難しいのか。いや理解することに重点を置き過ぎて次の最重要行程があることに気づけないのか。
現役時代をふり返れば、「ウーン、妙案だな」、と思える案には職場で一度も出会ったことが無い。私から見れば、犬も歩けば・・・ を期待したとしか思えない仕事の進め方、そんなやり方で楽しい? やる気になれる? と思える場面が多かった。
私の職場とは、アイディアの案出姿勢が感じられない典型的途上国企業の研究所だったと思う。今思えば私は仕事と学びの違いがわかって無いと思える人達に囲まれ続けていたのだ。
余談だが、後期高齢者になってからの私を一言で言えば、昼圃夜考*の毎日だ。私は「圃」での作業も「考」の行為も大いに楽しめる。特に「考」は現時点では存在してないモノを生み出し人類にプレゼントできる可能性がある。故に私の目標は「昼圃夜考」をできる限り長く続けることなのだ。
*晴耕雨読をもじって私が勝手に造った四字熟語
